7月のピックアップ展示
今月は、平成23年度に静岡市に新しく寄贈された資料をご紹介します。
「食籠(じきろう)」(蓋椀一組)
(静岡市蔵、禁転載)
朱漆塗りに金色の葵の紋が鮮やかなこの食籠は、
徳川幕府最後の将軍こと徳川慶喜公より、
初代静岡県知事、関口隆吉が拝領したものと伝えられます。
初代駿府博物館長として郷土の歴史文化の顕彰に尽力された故瀧静雄氏が
故あって関口家より譲り受け、大切に保管されてきました。
瀧氏のご遺族の、静岡の歴史を語る貴重な資料を
後世に伝えてほしいとのご意向により、このたび静岡市に寄贈されました。
こちらの資料は、7月5日(木)より展示いたします。
■初代静岡県知事 関口隆吉■
天保7(1836)~明治22(1889)年
関口隆吉は、今川一族関口氏の二男として江戸に生まれました。
幕臣として大政奉還をむかえ、江戸城明け渡しに立ち会い戦後処理に尽力しました。
維新後は慶喜にしたがって静岡へ移住し、牧之原台地の開墾に携わり
茶産業発展の基礎を築きました。
明治4年、新政府に乞われて出仕し、明治17年第3代静岡県令に就任、
明治19年の官制改革により初代静岡県知事となります。
黎明期の静岡県の基盤作りに多大な功績を遺し名知事とうたわれましたが、
明治22年4月11日、東海道線列車事故で重傷を負い、5月17日逝去しました。
~徳川慶喜と関口隆吉~
幕府崩壊から徳川家及び家臣を守った功労者の一人である隆吉は、
慶喜の信頼厚く、維新後もたびたび慶喜邸を訪問し親しく身辺の世話を行っていました。
「徳川慶喜家扶日記」からは、隆吉が慶喜邸を訪れた記録や、
列車事故に遭った隆吉の容体を案じる慶喜の姿をうかがうことができます。
(参考文献 『関口隆吉関係書簡集』(静岡県立中央図書館)、『慶喜邸を訪れた人々―「徳川慶喜家扶記より―』(前田匡一郎編著)ほか)
静岡市文化財資料館のすぐ横(静岡浅間神社境内)には、
隆吉を顕彰する大きな石碑が建てられています。
(「従三位関口君之碑」撰文:中村正直)
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